部長コメント

　当科は、大阪医科薬科大学第二内科（西川浩樹教授）の関連施設です。1998年より日本消化器内視鏡学会の、2009年より日本消化器病学会の認定指導施設に認定されています。2015年より日本消化管学会、日本大腸肛門病学会の認定指導施設にも認定されており、数多くの様々な消化器疾患の診断・治療にあたっています。コロナ禍においては、内視鏡検査の件数が減少しているものの、上部消化管疾患に対しては約6500件、下部消化管疾患に対しては約3500件に及び、昨年（2022年）は10000例を超える検査・処置を行っております。また、緊急処置においても、消化管出血や胆道系疾患に対する治療を中心に、年間700件近く行っております。

　上部消化管疾患に対しては、診断だけでなく止血術や腫瘍切除（など）、内視鏡的食道静脈瘤治療など治療内視鏡も数多く行っており、食道癌・胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術は年々増加傾向にあります。また、胃・十二指腸潰瘍や逆流性食道炎、ヘリコバクターピロリ除菌治療、機能性ディスペプシアの診療も精力的に行っております。

　大腸においては、数多くのポリペクトミーやEMRを行っています。大腸腫瘍に関しては画像強調（NBIなど）、色素撒布および拡大内視鏡を併用して術前診断を行い、ESDの件数も年々増加傾向にあります。また、進行癌による腸閉塞のため、救急搬送される症例も多く、緊急で大腸ステントを留置することもあります。その他、炎症性腸疾患（IBD）の診断・治療も精力的に行い、年々増加する新規薬剤も導入し、患者の病状だけでなく、ライフスタイルに合わせた治療を行うように心掛けています。IBDの鑑別疾患として、小腸疾患に対する検査も重要であり、小腸造影検査、小腸内視鏡検査（ダブルバルーン小腸内視鏡検査）およびカプセル内視鏡も行っており、その結果、クローン病のみならず、小腸癌や血管炎による小腸潰瘍など、特殊な症例の発見にもつながっています。

　肝臓においては、肝機能障害の原因としての肝炎および肝硬変、肝臓癌の診断・治療が中心になりますが、C型肝炎においてはインターフェロンフリー治療も行っています。肝細胞癌に対しては、放射線科・消化器外科の協力を得て肝動脈塞栓療法（TAE）、肝動脈化学塞栓療法（TACE）および経皮的ラジオ波焼灼治療（RFA）を行っています。また、必要に応じて、化学療法も取り組んでいます。

　胆道・膵臓疾患が多いことも当院の特色であり、ERCPは年間300例以上の件数があり、そのうち大多数が総胆管結石採石術やドレナージ術（ENBD、ステント留置）など胆道治療です。膵臓・胆道系の腫瘍に対しては超音波内視鏡検査（EUS）も積極的に行い、胆道系および膵臓の腫瘍の精査として行い、早期発見に心掛けています。腫瘍が疑われる際にはFNA（穿刺吸引細胞診）などの診断手技も多く行っています。また、連携パスを用いた膵臓がん早期発見のためのプロジェクトを連携医の先生方と行っています。

　上記検査、処置を行いながら、消化器内科だけではなく、消化器外科・放射線科・病理医との合同カンファレンスを行い、治療方針を検討し、日々の診療がより高い水準を保つことができるように日々精進しております。

疾患と治療について

■胃・十二指腸潰瘍
■ヘリコバクターピロリ菌
■逆流性食道炎
■大腸ポリープ
■内視鏡的粘膜下層剥離術（ESD）
■超音波内視鏡（EUS）
■大腸癌検診
■経鼻内視鏡

実績

通常の診断内視鏡・治療内視鏡とも、年々増加傾向にあります。
最近では、ESD（内視鏡的切開剥離術）も導入し、比較的大きな早期胃癌の治療にも取り組んでいます。